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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

ひろやすさん詩文控5

【260】


すなわち、龍の揺れる時
アジャンター石窟、エローラ石窟、中国の雲岡石窟、龍門洞窟
Do you ever dream about flying through the sky?
I wish I had wings to fly.

I saw something very bright fly across the night sky.

ドラゴン 君は滅んでしまったの、それとも何処かへ飛び去ったの
ドラゴン 君は中世の紋章、君は魔女狩りの変身そのものだ
ドラゴン 君は誰の人生に現われるの、そして誰の力となるの
ドラゴン 君は愛情の形の別の面、龍に翼がある如く
ドラゴン 君は雲にして臥龍、虎口を脱して龍窟に入る
ドラゴン 君は神変不可思議の霊物、君は灯す火の意味の龍燈
ドラゴン 君は龍宮に棲むならそれはもう墓だ、墓暴きの人を喰らうだろう
ドラゴン 君は真言の奥義にも似て、そして僕は蟷螂の斧を持つ
ドラゴン 君の風は火にかわるがわる景色を燃やし、町は不法と化した
ドラゴン 君は大海に向かう人に夢を見させる、青龍・鳳凰・白虎・玄武
ドラゴン 君は火山そのもの、しかし未だ我は夢の他に之を見ず
ドラゴン 君は酒で酔い潰れて断たれたの、それとも夢に棲んだの
ドラゴン 戦争に降る雨は、築かれた城よりも不慮の死に似てる
ドラゴン 名声は高まり地名となる人心の名は、蛇の道は蛇ということだ
ドラゴン 水神の象徴的な龍はさんずいを加えて、瀧となり、地に在る
ドラゴン 人の声が聞こえないか、七つの孔の軌跡を沿って宙を漂う忌名よ


【261】


Akiのkuroいkoorogiのような
鎖 手にいれようもなく縛られわたしはしずかに透けたろう
あなたは覚えている sanagi の aoい koorogiのころを
・・・・・・疑問符が浮かんだ 一本のオールの上にコバルトのtube・・・・・・
わたしのからだは 原始林でいい その木を攀じ登る
わたしのからだは 不特定なほど 小さな鉛筆の芯でいい
“二つのたくらみ”において日常の任意の場面は最も縁遠く声を残して去る
A 「k」 i の 「k」 uroい 「k」 oorogiのような
kokoro kokoro ・・ 君は空虚の中
を泳ぎ回る つもりだ ・・ 愛は幻のうち
に 肉体を 脱ぎ捨てた 
まぶたはるいせんよりもひときわちいさなぶっしつのかがやきをみた
夜、わたしがわたしであるために、思い出に肉付けしたその色や形は
Akiのkuroいkoorogiのような
さまざまな真心がざわめく、ひと日が火と結ぶ人の手と太陽とに
ふくれあがった、照準のあった君がいるのに不似合いな季節
あまりにも短い命を蹴りそうになったり踏みそうになるたびに見た
Akiのkuroいkoorogiのような
・・・いや違いますと定められた生物がとっくに違う血を流すように
そうでもない音を使い あやしくふくらませて鳴いた笛自身は
さかんにその時を見つけて、発火して、
盛んに又限りなく強くなってあふれる血と肉と骨は
・・・軋る。そして次の瞬間、樹木の影をはらみ、
   たやすくながれてしまう たっぷり大きな穴に
それは魔女どもが落とした涙の蒸留物ではないか
チ。チ。チ。・・と 鳥が鳴き始めるのと対照的な世界の井戸の色ではないか
ああ・・Akiのkuroいkoorogiをかわいがれば・・あなたの小鳥になりたい


【262】


断崖絶壁の宇宙人の視点
・・・・・・・わたし達はどのようにして確信に迫り、鉄粉を沼と見たか・・・・・・

目隠しが落ちる 存在の結び目に シャボン玉が落ちかかる
そしらぬ顔で あなたが眠っている表情が 舌の表現となる
シーザーが保有している土地はクレオパトラのもの
あなたは録音する 顧みられないまま その靴音の間で
揺れながら拡がってゆく踊りなら 闇の手が 頬に触れるだろう
  ホットカーペットのもたらすセピア色の闇から立つ人の細い影が長く伸びて
もし地上につないで見えないプロメテウスの鎖なら 観覧車よ
ひっそりと霧に濡れた 夏草の道は 心臓の鼓動の聞こえるあたりを通る
  「・・心臓が 二度と折り合えぬ感情に委ねている ただよいあえぬ(は、)」
死は現場に残され 気がつくと わたしはゴム手袋をしている
一切の過去から遮断された 四角い 地に脚のつかぬ部屋の壁画で
  武具をつけ、馬に打乗り、山羊が獲ものか、騎士が標的か、
時は呪いを解いたように 竪琴を弾き 水の慄えのアニメーションめいた
殻をやぶった 細い神経の 野獣が鍾乳洞の動物画となった
  幽霊屋敷で、永遠に走れ!絶え間なく寄せる魚が老いて腐る河口の近く
まだ首のすわらぬ 蜜の赤い 卵がたの顔が残された
入口では もう白鳥の雛が動くように 目が覚めた朝がある
  こらえきれずかぶりつくニューギニヤの薔薇いろの朝陽に似た
異国の荒野で 堅固な石の 飛行機や船のような役割の中で
わたしは膨張や収縮をくりかえし 魂は 未生前の顔を浮かべている
  雑炊に入れる塩のように、・・ある逆転が、この物語のすべてである
兄弟や 恋人が  裏返しの群れとなる明晰の中でひとしきり
世界に向かう ケンタウロスの姿を見た 


【263】


Autumn has come.
autumnal fruits
in the fall of 1990

行け! 書物よサテン地の疵を許して
永らえよ! 銅板彫刻のうちに
 (そのように・・君は不運な、乳香にしてサフラン!)
そは根源的情熱の蘭、巧みな頭部、空中の孤立、
虹彩――

堂々と愛らしく背高くこうも若く美しい方・・
あなたが異神像なら!周りの空気は新しい明るさで充ちる!

  ・・・ 「幸あれかし!」・・・
 装甲をもたらす階級意識、・・白鳥の雛が動く、
 よりよき伝統・・告白(鎖の轡をつけた、)
 日照の萼!薫煙の夜の女神!

『君の名が語られる・・鋲撃たれた鎧の胸に』

行け! 熱風よ釉薬の下の卵型の顔よ
永らえよ! そしてお前はどうして暗い・・
(大薊と、円柱と、孔雀の明るみ!)
吐き気を催す骸骨の世紀末風景、去勢される雄牛!
おお!聖杯――

そして素晴らしき宴!薄紗をまとった娘たちのさらに素裸かな乙女
すでに枯れた花の装いも!・・シロツメクサの翻弄り!

  ・・・「人の顔の吊るとなる蔓を見よ!」・・・
 木の精は果樹の性になった、静脈の階段が、
 心臓を飾り鋲する・・さてここに! 金色の秋が!

『秋よ・・暗澹たる街に雷光の如く降れば、甕に・・葡萄あり!』

行け! 繊細いぞひびき・・鳴り響くかのよう!
永らえよ! 毛莨と巴旦杏!
(許したまえ!許したまえ!・・我々を許したまえ!)


【264 ディオニソスは二度生まれた】


へんなめがね
へ・ん・な・め
へんな

HEN

~時代は要求した、加速度
 時代の「ヘン」はさらなる「ペン」~

・・・ゴンドラ 身辺整理
・・・コントラスト
・・・ふたことみこと
ヘン!
へへへ・・へへ・・

HEN

~時代は要求した のっぺらぼう
 かおのない、めのない、はなのない~

かつてなかった率直さ
つぎはぎ文明
YUIてヒサしい
忘却というふるい

「まばゆい光の田中!」
「たぶんそれ佐藤ですよ!」

再生するめがね
再生するめやに
再生するめんたま
再生する


【265 a place of pilgrimage】


カルタゴのボーン、この地上はあなたのものであった
カルタゴのボーン、世界史など嘘っぱち、今でもあなたが支配している

・・・ムシケラアート・ずだずだなアート・ずりずりのアップダウン
すでに刻まれた『永遠』になんて、ぼくらまーたく!興味がない

カルタゴのボーン、歳月は容赦ないあなたへの迫害
カルタゴのボーン、水、火、楽園のアダムも恐れるほどに蛇!

・・・変幻の神てんじて変弦のプロテウス、映るのは十字架しょってる誰か!
あいつは誰か『単なる連続であり、虚妄』・・だって影なんて重いじゃない!

カルタゴのボーン、夜更けまでユダヤ人の町を想ってたぜ
カルタゴのボーン、アキレウスの怒りを歌う程に!

・・・死んだ錬金術師、たとえば卵孵化器、あなたの人生!
たとえば死者!なんというか死者!最初の王国から既に死者!

カルタゴのボーン、俗人の眼には映らぬほどにあまたの世紀!
カルタゴのボーン、宇宙はまったくあなたのものである

・・・おお騎兵たち、たてがみが揺れる、風あり、風の中に灰あり!
馬たち!・・その鋼たち・・弓のように君は巡礼する!


【266 hydras】


 昨日、防犯カメラに、正体不明の生き物がうつっ
ていたんです。ああ、警備主任もうどうして、よいか、
いったいぜんたいこの生き物は何か、・・ああ髪よ!

 おいおい、字間違えてるだろ、落ち着け、これは
ヒドラだ。って、俺もう、断定しちゃってるよ、
いや、ファンタジー好きだからさ、はは。

 でも警備主任、どうします、これ、何処に報告し
ましょう。FBIですか、それともKGBですか、
それとも、サーカスですか?

 おい、売るなよ。馬鹿野郎、俺は・・とりあえずこの
眼で見るまでは信じない。いや映ってるけど、トリッ
クかも知れない。俺はこいつと会いたい。

 って主任アンタただ、このヒドラ・・ってなんですで
に断定しているんだ、俺も!・・まあ、いいや、もうど
うでもいいや、はい、そうしましょう、そうしましょう!

 かくして俺達は、寝ずの番で、手すりやドアに目を
やった。通路を確認した。防犯カメラで、奴を待った。
そして、・・正体不明のヒドラがあらわれた!

 ・・でも主任、思うんっすけどね、すでにヒドラと言っ
ていたら、正体不明じゃないっすよね。まあ、どうでも
いいんっすけど、まあ、・・ヒドラかわいいっすね。

 こいつ何食べんのかな、お、こいつ、犬の餌くってん
ぞ。なかなかの雑食系だな。雑食系ヒドラ。かわいいな
あ。俺、夢だったんだよなあ、ヒドラを飼うの!

 ああ、主任!アンタ、やっぱり捕獲するつもりなんだ。
朝から網とか、首輪とか持って来たのはそうだったんっす
ね。クソウ。せめて俺に名前つけさせてください。


【267】


まぼろし
There is a moth on the ceiling.
蛾を追え

an insect called moth
神をも畏れぬ者へ
 罰が下るだろう!・・

Baby 吹き飛ばないで
あの鼓翅きは催眠効果
・・あ、ママの顔
ママ、・・あ、船長のおやじ
カフェやバー・・
あ、友達
あ、Babyを紹介するよ
氷山みたいに真っ青なんだぜ
あれ、おいユキ、
何処へ行ったんだ
真っ暗だ、
あれ、俺いま何してたんだ、
あれ、俺の身体に家具が
くっついてる、 
Baby OKだよ
OKだから隠れちゃダメだよ
そりゃ確かに
アイルランド女性はまずい
でもジェニファー!
君は手を差し伸べようとするな
ああジェニファー、
君の顔を見たくない!
やりきれない・・
あ。あ。・・ああっ!
蛾だ。
俺はすぐさま小さな斧を握りしめ、
苦難の試練!悪魔の囁き・・
振り回した!
邪悪な友!
いわば全人類の罪!
蛾は十一時四十五分の朝、
この白い雪景色の地上の、
人類を堕落させるため、
空から俺達を眺めてる・・
見せしめか、神よ・・
ああ血の海!
ああ、大量の血液!
まぼろし蛾!
まぼろし蛾!
・・げらげら笑う
・・・ゲラゲラ
いやな笑い声のくちびる、
コルトバイソンの銃声
いやな煙
いやな!いやな!都会
大都会ニューヨークに
に・・そいつは・・・


【268 にくまん】


にくまんってどうしてやわらかいんだろう。
大体・・とくに・・・スキでもない・・・

「・・・肉まんいる?」
と彼はやさしそうな顔でわたしに聞く。
この人、わたしの胸ばかり見る。

にくまんにふれると、
――あったかい。


【269】


都会って・・
男の後ろ姿だ

・・昨日カレと会った
馬鹿野郎
あたしは
ヒマじゃない
  
19:20
スパゲティーを
茹ですぎた
 
 20:10
 トマトソース
  焦がした・・


【270 かえるになる日】


それなりに・・分かり合ったつもり・・・

それなりに・・

ほったらかし。別に。
だってあなたの自由でしょ・・ジユ・・

ネムくない・・ただダルい・・・

それにしても・・カノジョ・・・と・・・
ワカれようかと思うんだよね・・

ああ、ありがとう・・煙草、
うん、プウ、プウ・・ふわあ・・
プウ、プウ、ふわあ・・

なあ・・ワカれるなら・・
カエル一匹飼えよ・・・・


【271 ウルトラスプリング】


そうか――泡だ・・
進化、・・いや
年貢の納めどきか

ビールの泡
脳下垂体の手を感じる
最初の感銘・・恍惚・・・

えだ、ま、め霊界
からあげ食べたい経験
オーバーな・・いやなんちゅーか
ひでえ話だけど、うんこしたい

脂汗ア、ア、アア
凶悪犯が市民を
なぶり殺しにするような感じ

でも泡だ、
泡は合点だし、要点だ
憎むべき敵は、泡、その不気味な
・・ゆりかごのような、意識

すがすがしい賞賛と叱責!
差し押さえ令状やら、債権差し押さえ!
こんな自然の泡に長靴はずぶぬれ

――泡はコンポス・メンティス
動物虐待のひどい火事で
それは何か厄介な問題ごとを教えてくれる

吃りながら、聖なるモーセに誓って・・
さわやかな広告を新聞気取りでブログに出した
快便!市民判事どの!
ビール1ダースの罪をください!

・・ねえお嬢さん、そこのボーイ
珊瑚色のアオサギの羽毛が
泡のように黒い森に浮かんだ
こんなさわやかな春!


【272】


ruins steeped
in gloom

全てが忘れさられ、去っていっても、
きっと姿をかえず残る・・残る・・・

この記憶の泥土で――
いまも・・泥は続いてる・・・

a ruined town

降り続けてる、雨のような・・泥・・・
その一瞬、歴史や、侮辱や、・・
悲しみが・・・心に宿る――

君と見てた
蔦の葉、ひいらぎの実
僕の人生は
幸福なはしばみの実

君と波を切って進んだ
懲罰の鞭を振るいながら
高慢の悲劇を感じ
奴隷の国で世襲を恨んだ

君が鳴いてた、金糸雀
夜啼鶯・・鳥かごのなかで
ようやく見付けたベッドで
羽根をたたむ二匹の泥、

無数の泥――
人生は古ぼけた杏になった
そして峡谷でそれを拾った
まるで僕等は廃墟の奔放だった

--for ruinous it was.
   H. G. Wells『タイムマシン』


【273】


人の世、木の下
「着水用意!」の号令
the vernal equinox


湖水に沈んだ ツユグサツユグサ・・
ゆらゆらと揺れている
濁って聞こえている
蝉とりの声は霧の向うから
途切れることなく野原に 神社に
あの屋根の天井に
飛べば合掌して眼を閉じる蝉
でも無性にいじらしくなるダムの底に
ぽたぽたと落ちる雨
小さくなれるだけ小さくなった魂か
父はアワアワ
母も罌粟粒ほどでアワアワ
かすかに残っている網のイメージ
もがけばもがくほど声が涸れ
いまでもパンドラの箱のように
意識混濁のそこに沈められている
ズックの靴や リボン 川の舟
田んぼ 街道 農道・・
どんどん沈んでいっていくのに
まだ身動きしないでこらえていた
林の中の鴉のように幸福と不幸を
そのおびえる意識の昼時分の夢の中
いつまでも悪夢に抱かれて
母に似た人生に執着して――
目覚めると、誰よりも水を汲んだ汗
ああ走ってゆく人の呼気吸気
無造作に降りしきる光の雨のなかで
この樹の精は大地に影を落として
僕の所へと 静かに降りてきた
ひまわりをむしょうに見たかった
心の容器に満開の桜の花びらが落ちた
世界は少し湿っぽい風を
吹かせていた


【274】


いちごのように、
とけてみたい

KAMOME STUDIO
「Strawberry greenhouse」


【275】


uncannily
human robots

KAMOME STUDIO


拙者、いびきのゴスペル
O字型にならない咽喉の奥、・・
もがく迷路に這うでござる
がっしゃん、ウィィィィ、・・
がらんどう、デリケートなダマシ
境遇は不快なれど、埃だのが、
天井よりやわらかな脂肪として、
「いや、すまんね、パタパタ」
主人・・少しずつお互い
気まずくなるでござる
「ハテ・・」
ナフタリンや、加齢臭がするでござる
いたるところから、主人の匂いがする
キャベツやたまねぎを奥方様が
買い物で購入してきて候


【276】


KAMOME STUDIO「瞼毛はスポットライトの中で」
It was she, not he, who was picked out by the spotlight.

忘れかけた歌を時には聴いている夜
思い出すよ・・色んな嫌なこと・・・

「休みたいんだ」
ずうっと長い間、
・・抱きしめられたことがない。

「ほら、見て、・・母さん」

小さな、小さな、ほうせんか。












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